滅菌・殺菌・消毒・除菌・抗菌の違い

O-157やノロウイルス、最近ではコロナウィルスの感染があり、清潔・安全意識の高まりから菌に対して敏感になる傾向が一般に定着しています。それとともに菌の抑制に関するものだけでも滅菌・殺菌・消毒・除菌・抗菌など様々な用語が使われています。今月はこれら用語の定義と意味について整理したいと思います。

1. 定義

① 滅菌とは

全ての菌(微生物やウィルスなど)を全滅させることであり、菌に対して最も厳しい対応をするという意味です。微生物の残存する確率が100万分の1以下と定義されています。人体に対してよりも手術時の器具などの殺菌に使用されます。「滅菌」は薬機法の医薬品や医薬部外品に使用される用語と定められています

② 殺菌とは

文字通り菌を殺すことです。細菌を死滅させるという意味ですが対象となる菌や殺した程度は含んでいないため、一部を殺しても殺菌であり全ての菌が対象となります。「殺菌」も薬機法の医薬品や医薬部外品に使用される用語です。
薬用石けんなどの医薬部外品であれば「殺菌」という表現は使えますが、洗剤や漂白剤などの雑貨品には「殺菌」の表示はできないことになっています。

③ 消毒とは

物体や生体に付着または含まれている病原性の微生物を死滅または除去させ害のない程度まで減らしたり、あるいは感染力を失わせる(不活性化)などして毒性を無害化させることをいいます。例えば、アルコール消毒液はコロナウィルスの細胞を包む膜であるエンベロープを壊すことによってコロナウィルスの繁殖を不活性化させるといわれています。「消毒」も「殺菌」と同様、医薬品や医薬部外品の用語となります。

④ 除菌とは

物体や液体といった対象物や限られた空間に含まれる微生物の数を減らし清浄度を高めることをいうとされています。どちらかといえば、物理的、化学的に繁殖可能な菌の数を減少させることを意味します。
例えば、洗剤で手についた菌を洗い落としたり、清拭用クロスで拭きとるようなことをいいます。

➄ 抗菌とは

「抗菌」とは菌の繁殖を防止するという意味です。菌を殺したり減少させるのではなく、繁殖を阻止することです。例えば、トイレの便座を清拭くすることによって、菌が付着しても繁殖させないように環境を作ることをいいます。

2. 法律上の定義と実生活のズレ

法律上の建て前とは別に一般に広くもたれているイメージがあり、それらにズレが見られます。
日本石けん洗剤工業会の調査によると、「菌の減少」に関して抱いているイメージとして、滅菌・殺菌は全ての菌を死滅・取り除くこと、消毒・除菌は大部分の菌を死滅・取り除くことというイメージを持っている人が最も多い結果がでています。
また、「身体や健康に害を与える菌を死滅・取り除く」ことに関するイメージとしては、消毒が最も高く、次いで除菌、抗菌の順で、意外に滅菌・殺菌は低い結果でした。
このようなズレが用語の意味を分かりにくくしている背景の一つになっているようです。

3. まとめ

「滅菌・殺菌・消毒」の用語は薬機法の医薬品か医薬部外品で使用される用語のため、認定をとっていない雑貨品にはこれらの用語は使用できません。

「除菌」や「抗菌」といった用語は雑貨品にも使用することができます。

ただし「菌やウィルスの除菌もしくは抗菌作用がある」という表現は可能ですが、特定名の菌やウィルスを表現できません。
NG例「食中毒が原因のO-157、ノロウイルスやコロナウィルスを除菌・抗菌します」

4.最後に

法律上の定義と実生活で普通の人が抱くこれらの用語に対するイメージにズレがあるのが現実ですが、企業や販売員は法律遵守の立場をとることが必要です。
一般消費者にヤング・リヴィング製品を説明するときは「殺菌・消毒」といった用語を使用せず、正しい用語を使って紹介していだだくようお願いします。

<実際の例>

■次亜塩素酸水の場合
次亜塩素酸水がノロウイルスに効果がある数少ない殺菌剤であることは一般的にはよく知られたことですが、医薬品や医薬部外品の認定をとっていないためドラッグストアやスーパーで市販されている次亜塩素酸水の商品には「除菌・消臭剤」と表示されいます。
「殺菌や消毒」といった用語はいっさい使われておらず、もちろん、「ノロウイルスを除菌します」といった表現もされていません。

■テレビCM(2020年3月)
「ウィルスや細菌対策に除菌・消臭スプレーの○○を!」といった表現で雑貨品が広告宣伝されています。

■厚生労働省によるコロナウィルスの家庭内対策(2020年3月27日)
次亜塩素酸ナトリウム(医薬品)溶液でドアの取手やノブ、ベッド柵を拭いた
あと水拭きするかアルコールで拭くことを薦めています。医薬品扱いであればコロナ
ウィルス名を特定できるいい例です。