【コンプラ知恵袋】消費者保護の話-2019年3月|Compliance(コンプライアンス)

【コンプラ知恵袋】

消費者保護の話

架空請求詐欺、振り込め詐欺、投資詐欺、悪質な訪問販売等々、高齢者が被害にあう事件が毎日のように報道されています。このような被害をなくすために悪質な業者を取り締まるだけでなく被害を受けた消費者を救済することが求められます。
消費者保護関連の法律はこの目的のために業者ではなく消費者の立場に立って定められています。ホールセール会員の皆様は法律上、いわゆる業者の立場になりますので法律の主旨を理解しておく必要があります。

消費者保護の関連法とは

代表的なものとして、民法、消費者契約法、特定商取引法がありますが、知っておきたい内容を次に要約します。

  1. 民法では、未成年者が行う契約はいつでも解約できます。
  2. 消費者契約法には、取り消し制度と不当条項の無効があります。消費者契約法には業者と消費者の契約(B to C, Business(企業) to Consumer(消費者))について定められており、業者間の契約(B to B, Business(企業) to Business(企業))は対象外となります。
    1. ①取り消し制度とは、消費者が売買契約を締結するときに、業者から不実の告知や重要事項の不告知等によって誤解して契約した場合、消費者が後日にそれが間違いであると認知した時には契約を解除して製品代金の返金を受けることができる制度の事です。誇大広告や薬機法違反の効能効果は不実告知とみなされることがあります。
    2. ②不当条項とは、契約書の中に消費者が明らかに不利になる条項が特約されている場合、消費者から指摘されたときに無効となる条項のことです。例えば、「会社が認めた場合のみ返品できます」という条項は業者が認めなければ返品できないため消費者には明らかに不利な条項なので無効です。
      消費者契約法は業者と消費者が交わすすべての契約が対象になりますのでホールセール会員登録、リテール会員登録の契約も対象になります。
  3. 特定商取引法には、クーリングオフ制度、中途解約制度があります。特商法は消費者救済ルールと同時に業者に対する禁止行為や罰則が定められているのが特徴であり、その観点から行政が適用しやすい法律と言われています。
    前身は訪問販売法ですが、取引が複雑になるにしたがい法律を改正し、現在では7取引に分類してそれぞれ規制が定められています。ホールセール会員の勧誘は連鎖販売取引に分類されていますので、この取引の中で説明しますと、

    1. ①クーリングオフとは、消費者が契約して契約書面を受け取った日か初回注文製品を受け取った日のどちらか遅い日から20日以内であれば、理由の如何にかかわらず書面によって契約解除を申請することができ支払った費用は全額返金されます。その名の通り契約した後に冷静に考え(クーリング)、契約締結の可否を判断できる期間が与えられており、消費者にとって最大の救済といえます。
    2. ②中途解約制度とは、クーリングオフ期間が過ぎても、契約後1年未満であれば契約を解除して購入後30日未満の製品は返品することができる制度のことです。

 

最後に

消費者保護のための法律が定められていますが、ホールセール会員の皆様は法律を守らなければならないという義務感より、消費者の気持ちを推し測り信頼関係を構築することを考えていただければ法律の事を気にする必要はないと思います。
消費者がMLMに対してネガティブなイメージを持つことはごく普通であり、消費者の信用を得るためにはまず事実を見ていただくことが大切です。会社オフィスやスタッフ、製品の品質管理、会員活動、試食やサンプルなどを紹介することによってMLMに対するネガティブな壁を取り除く努力が必要です。
ネガティブな壁を打ち壊すのでなく、相手が話を聞く気持ちになっていることを確かめてから会員登録を進めていただくようお願いします。